2015年4月21日

 日経、毎日、朝日と、沖縄の基地問題をめぐる世論調査が連続的に発表された。政府の対応は、世論の強い批判にあっているようだ。当然のことだよね。

 沖縄の世論だけではない。沖縄と同じ数字ではないにせよ、全国的な世論も、政府をきびしい目で見つめている。安倍さんは、沖縄がどうあれ、どんなに沖縄が反発しても、全国的な世論が沖縄に同調しない状況をつくって乗り切ろうとしているわけだから、この結果は大事だと思う。

 この結果って、翁長さんと菅官房長官、安倍首相との会談の結果を受けたものだということに意味がある。マスコミは、この会談を受けて、政府も辺野古移設一辺倒だったけど、沖縄側も普天間の危険性を除去する代替案を示さなかったとか、「ケンカ両成敗」的な報道だったから、なおのことだ。

 そういう報道があっても、国民は、翁長さんが語ったこととかを断片であってを聞いて、あるいは翁長さんの表情をテレビで見た。それらを通じて、沖縄に軍配をあげたということである。

 現在の沖縄の闘い方は、基本的にいい方向に向かっているのだと思う。その方向に寄与できるよう、全力でがんばりたい。

 この結果って、同時に、翁長さんというもともと自民党の政治家ががんばっていることにもあると思う。それは私にはよく理解できる。

 私は国会の秘書をしていたことがあって、その頃、いろんな委員会の傍聴をしていた。いろいろ勉強をしたのだけれど、沖縄の自民党の議員が基地問題で質問するときって、感動的なことが多かった。

 自民党だから、みんな安保と基地を受け入れているわけだ。だけど、もちろん沖縄戦は体験していて、基地と米軍の横暴についても、県民と同様の気持ちを持っていて、でも日本全体のために、その苦痛を受け入れているわけだ。だから、委員会で政府に対して質問するわけだが、基地と米軍を受け入れているわけだから、せめてその苦痛を分かってほしいという、その気持ちが伝わってくるのである。

 これまでの自民党というのは、かたちだけではあっても、その苦痛を理解するという対応をしてきた。だから、最初、普天間の移設先が県内だとなっても、撤去可能なヘリポートだとか、15年が期限だとか、普天間は危険だから5年で運用停止するとか、「苦痛」に応える回答を用意してきたのである。

 だけど、安倍さんには、そんなものはなにもない。だから、沖縄は、保守も含めてみんな新基地反対という方向に動いたのに、安倍さんはただただ「唯一の選択肢だから受け入れろ」というだけなのだ。

 翁長さんの発言は、そういう沖縄の歴史の重みを感じさせる。深い発言だ。だけど、安倍さんや菅さんの発言は、うすっぺらい。だから、「ケンカ両成敗」的な報道であっても、違いが伝わってくるのだと思う。がんばらなくちゃね。