2015年7月13日

 先週末11日の朝日新聞のトップ記事は、憲法学者に対するアンケート調査の回答だった。見出しになっていたのは、「安保法案 104人「違憲」」というもので、調査に答えた122人のうち104人だから、多いでしょといいたかったのだと思う。

 だけど、もともと衆議院の憲法調査会で憲法学者3人がそろって「違憲」表明をおこなったわけで、それを受けての調査だから、多いことには驚かなかったと思う。なぜ、これがトップ記事の見出しになるのか、私は不思議だった。誰もが当然だと思うことを見出しにもってきても、ニュースとしての新鮮みに欠けると感じるのだが、どうだろうか。

 それよりも私がびっくりしたのは、同じ記事のなかで、自衛隊は合憲か違憲かという問いがあり、その答だった。腰を抜かすとはこのことだろう。

 「憲法違反」が50人、「憲法違反の可能性がある」が27人、「憲法違反にはあたらない」が28人、「憲法違反にあたらない可能性がある」が13人。

 後者のふたつをあわせると41人だ(前者のふたつが77人)。つまり、「憲法違反(の可能性がある)」は63.1%、「憲法違反にあたらない(可能性がある)」が33.6%だ。

 自衛隊が憲法違反かどうかの世論調査って、私の記憶では、1990年頃まではやられていたが、その後、ほとんどないのではないか。そんなことが争点となるなんて、ずっとなかったから。

 だけど、憲法学者にアンケートをとれば、過去、「憲法違反だ」という人が90数%だったと思う。それがいまや63%になり、そうじゃないという学者が3分の1を占めるに至っているのである。

 よく、「憲法を素直に読めば、自衛隊は違憲だ」といわれるけど、専門の憲法学者の3人に1人がそういう論理に立たないとすれば、その論理はもう常識とはいえない。おそらく、航空自衛隊による武装した米兵の輸送のみを「違憲」としたイラク訴訟での名古屋高裁判決など、現実の積み重ねが影響を与えているのだろう。その変化をどう見るのか、真剣な探究が必要だ。

 大事だと思うのは、安保法制に対する世論の雰囲気を変えた3人の憲法学者が、すべて自衛隊合憲論の立場の人である。この間の国会での参考人質疑や昨日のNHK日曜討論などを見ても、合憲論の(そしてわが「自衛隊を活かす会」の)柳澤協二さんや伊勢崎賢治さんが反対論をリードしている。

 世の中、大きく変わったよね。そして、安倍さんに対抗する力はどこにあるのか、この間の新安保法制に反対する闘争のなかで、その展望が見えているように思える。