2015年7月30日

 来年3月23日から31日までの標記の旅について、近くチラシを作成するので、以下の文章を書きました。イギリスの旅の値段が高くて、37万とか38万くらいになりそうです。

 お二人がマルクスの著作について往復書簡を交わす──。そういうコンセプトではじまったのが『若者よ、マルクスを読もう』です。その第一巻が出たのが5年前、第二巻が昨年。これからも、エンゲルスを取り上げたり、『資本論』に挑んだりと、まだまだつづく予定です。

 その途上に、どうしても著者と一緒に、ドイツとイギリスに行きたくなりました。だって、この本を読んでいると、マルクスの息づかいが聞こえてくるんですよ。ドイツ革命を成功させるため実践面でも理論面でも自分を飛躍させようと自分にむち打つ姿とか、身体をボロボロにして働く労働者を思いやる深い愛情とか。目の前にマルクスがいるような気持ちになるのは、私だけではないでしょう。

 実際に私たちが生きている現代でも、生きたマルクスを必要とする場面がありますよね。貧困と格差が広がる社会をどう変革するのかという問題は当然として、TPPのように資本が国境を越えて経済を支配するさまを見ると、「万国の労働者、団結せよ!」こそが対抗策だと思えてきます。

 だから、マルクスをもっと身近に感じることで、もっとマルクスを自分のものにできないかと思ったんです。だったら、こっちからマルクスを訪ねるしかないでしょ。

 ということで、超忙しい著者のお二人に無理をお願いし、スケジュールを調整して頂き、ようやく実現しました。こんな旅は二度とできません。

 まずドイツ。マルクスが生まれたトリーアです。ここにあるマルクスの生家は、博物館になっています。ドイツ政府の観光局の方がここを見て、「マルクスのファンになった」というぐらいの充実ぶり。期待が高まりますね。

 この一帯はラインラントと言って、フランスに隣接して革命思想の影響も強く、マルクスは1848年革命のなかで、ケルンにおいて「新ライン新聞」を出したりしました。私たちの旅は、フランクフルトに行きます。48年革命で目標とされた憲法が審議されたけれど、革命の終焉地でもあります。この憲法の起草委員には、あのグリム兄弟のお兄さんがいたのですが、もしかしたら同行する池田香代子さんが、「48年革命におけるグリムとマルクス」の講演をしてくださるかもしれません。乞うご期待。

 ドイツが終わったら、イギリスへ。まずはマンチェスターです。エンゲルスが工場を経営していた場所ですね。当時の紡績工場の様子が分かる博物館があるんです。そのままリバプールに行って、奴隷貿易の実態も学びます。リバプールといえばビートルズですけど、何か企画しましょうか?

 そして最後はロンドン。国際労働者協会が会議をしていた場所とか(現在はレストラン)、貧困のなかでマルクスが暮らしていた家とかを回ります。最後は、やはりお墓に花でも手向けましょう。

 内田さんも石川さんも、はじめて行く場所ばかり。きっとインスピレーションが湧いてきて、そこで交わされる会話から、次の本が生まれてくるかもしれませんね。ツアー参加者は、本ができる前に、それを味わえるわけです。

 こう紹介すると仕事ばっかりのようですが、ほとんどの場所は有名な世界遺産があるところ。それもたっぷり時間をとります。お楽しみに。