2016年8月2日

 中央教育審議会の特別部会が、2020年度から順次実施する学習指導要領の中間報告(審議まとめ)を公表しました。内容上の評価については、専門家の間で議論があるでしょうけど、出版社にとってはチャンスと捉えるべきでしょう。

 とりわけ、高校で新設される「歴史総合」が注目です。「日本史と世界史を統合し、近現代を中心に学ぶ」とされています。

 数年前に歴史のいろいろな分野の先生を集中的にお訪ねしたとき、学術会議でそういう方向が確定したことを教えられました。だから、いずれこのような科目の創設が打ちだされることは分かっていたわけですが、いよいよなんですね。

 こんな歴史の教え方をしたら、いまの政権のもとでは、「日本が世界のなかで優れているとことを学ぶ」なんてことになりかねないという危惧もあるでしょう。だけど、歴史の教え方の基本として、日本史を世界から孤立的に捉えること自体がおかしいと思います。古代史だって世界史のなかで捉えられるべきでしょう。

 実際、息子が使っていた世界史の教科書だったか副読本だったかを見ても、年表なんか、国ごとに縦に見るものと、世界を横断して横に見るものと、両方が混在していたわけです。そういう見方でないと捉えられないほど、世界は関係し合いながら歴史が進行してきたということでしょう。

 いずれにせよ、新しい歴史の教え方になるわけで、出版社としては、目の前に広大な市場が広がったということなんです。高校は6年後の実施ということなので、それまでに時間をかけて準備し、6年後には何冊もの関連本というか副教材のようなものを出せればなあと思います。

 あるいは、私が高校の頃は、『世界の歴史』『日本の歴史』と銘打った全何十巻の本なんかがあって、歴史が好きだった私はむさぼるように読んだんですが、それも変化するのでしょうね。『日本と世界の歴史』全何十巻の刊行ができたら、夢のようです。

 とりあえず、日本史、東洋史、西洋史の専門の先生に集まっていただき、勉強会から始めましょうか。でも、6年後は会社にいる保障がないので、誰か担当者を代わりに決めておかないとね。