2016年8月23日

 内閣法制局が、天皇の生前退位について、憲法改正が必要だとしているとの報道が昨日あったらしい。日テレNEWS24。以下、冒頭部分の引用。

 「天皇陛下の生前退位をめぐり、内閣法制局などが、将来にわたって生前退位を可能にするためには、「憲法改正が必要」と指摘していることが新たに分かった。
 天皇陛下のお言葉について安倍首相は「重く受け止める」と表明したが、政府は憲法との整合性をいかに保つか、難題に直面している。政府関係者によると、憲法と法律との整合性をチェックする内閣法制局などは、生前退位を将来にわたって可能にするためには「憲法改正が必要」と指摘しているという。
 これは憲法第1条で天皇の地位は日本国民の総意に基づくと定めていて、天皇の意思で退位することはこれに抵触するという理由。
 一方、生前退位を今の天皇陛下にだけに限定するのであれば、特例法の制定で対応が可能だと説明しているという。政府は来月にも有識者会議を設置し、特例法の立法を軸に議論を進める考え。……」

 生前退位問題が議論され始めてから、いろいろな見解が出されている。しかし、これまで、学者も政府も、憲法上の問題はないとする節が主流だったはずだ。過去の政府答弁だって(つまり過去の内閣法制局見解だって)、そういうものだった。

 そこを、現在の内閣法制局が変えてしまうのか。誰もが思い出すのは、一昨年、集団的自衛権の政府見解を変えたこと。あれだけのアクロバティックな解釈改憲の論理を編み出す能力のある法制局が、今回は、解釈改憲でなく明文改憲が必要だというのが、どうも政治的な匂いがするよね。

 国民多数が生前退位に肯定的なのを見て、生前退位問題で改憲を提起すれば野望が実現できるんじゃないかと、内閣法制局が安倍内閣におもねったんだろうか。そこまでするものなのかなあ。

 内閣法制局の誰がそう言っているのかも明確でないので、本当にこれが法制局の真意なのかどうか分からない。間違いかもしれない。

 だけど、たとえ事実ではなくても、少なくない人が、内閣法制局って、そういうことをやりかねないところだと思っているわけだよね。だから、真実ではなくても、まことしやかにニュースが流れてくる。そして、内閣法制局への信頼が、さらになくなってくる。

 身から出たサビというのは、こういうことだよね。ま、仕方ないですよ。