2016年8月10日

 昨日お知らせしたように、このタイトルで本を書きます。表紙画像を添付しておきますね。どうでしょ。

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 ところで、「日本会議」の歴史観というと、多くの方が直感的に捉えるのは、「極反動」「超右翼」「タカ派」のようなものでしょう。そして、東京裁判を否定し、慰安婦問題はないと主張し、南京虐殺もなかったと豪語しているというイメージでしょうか。

 そういう捉え方をするから、それに対する批判の中身も、硬直したものになりがちです。だけど、本当に「日本会議」は、そういう主張をしているのでしょうか。

 「日本会議」といっても、その構成員はさまざまで、歴史観のことだから、一人ひとり個性があります。たとえば、稲田朋美氏は、有力メンバーと目されていますが、最近出版された『日本会議の正体』(青木理)に次のようなやり取りが載っているので、紹介しておきます(防衛大臣になる前、自民党政調会長の時のものです)。

──稲田さんご自身も、憲法改正にしても他の政策についても、日本会議の主張に異議はないと。
 「方向性は一緒だけれども、違っているところは少し違っています。私は東京裁判にしても、東京裁判自体を否定する(無効を主張する)ということはありません。だから実物以上に期待されているところがあると感じる時があります。
──というと?
 「たとえば慰安婦問題です。20万人もの若い女性を強制連行して『姓奴隷』にした、というようなことはないと私は主張していますが、慰安婦制度自体が重大な人権侵害だったことは間違いありません。南京の問題だって、20万人とか30万人を手当たり次第に殺したということに疑問を持っているのであって……」
 ──南京虐殺そのものがなかったと主張しているわけではないと。
 「ええ、捕虜の多数殺害はありました。当然ですが一言で『保守』といっても、考え方は少しずつ違ったりもするわけです」

 「日本会議」が明治時代を懐かしんでいることは事実です。それをもって、なんとなく印象から、「日本会議は明治憲法の復活をねらっている」ような批判もあったりします。

 それに対して、「日本会議」は、「結成以来今日まで「大日本帝国憲法復活」などの方針を掲げたことは一切ありません」と反論しています。そうなんです。日本会議の憲法改正に対する取り組みは、本気でやっていますから、国民の多くが心配するようなやり方はしていないんです。国民が支持できるところはどこまでかを考えながらやっています。

 それを無視して、「日本会議はこんな超反動だ」などを批判していては、軽くかわされてしまいそうです。そのあたりをどうするのか、今度の本で書くつもりです。