2017年9月1日

 民進党の代表選挙は予想通りの結果に終わった(枝野さんの得票が意外に多かった)。野党共闘路線に期待をかけている人にとってはがっかりなのかもしれないが、私は「前原さん、ガンバレ」という立場だ。

 この間、共産党との共闘に否定的な議員が、次々と民進党を離党していった。枝野さんが代表になったら、それがさらに加速することになったと思われる。そうやって、民進党が共産党との共闘に前向きな人ばかりになるのは、率直に言って歓迎できない。

 選挙で安倍政権を追い詰めることができるとすると、野党がどれだけ保守的な人々に支持されるかが焦点だ。保守的な議員が抜けてしまって、ただリベラルというだけに見える民進党は、そしてそういう民進党を含む野党共闘は、保守的な人々の支持をつなぎ止めることができない。

 それに、基本政策が違う場合、政権共闘はできないという前原さんの主張は、間違ってはいない。野党共闘路線に転換するまでは、その主張は共産党のものだった。だから、護憲の一致点で統一候補を出そうという働きかけがあっても、安保廃棄の基本政策で異なるから出来ないというのが、共産党の立場であった。いま前原さんが、安保や自衛隊の基本政策で異なるから政権共闘はできないというのは、共産党と同じことを言っているわけで、真っ当な主張なのである。

 そこをどう考えるかの議論抜きに、ただ野党共闘が大事といっても、説得力がない。その議論を本格的にやるためにも、前原さんは適任だと思う。

 基本政策が異なれば政権共闘はしないという立場は正しいか。いや、安倍政権打倒のためには、これまでの立場を変えて、基本政策が異なっても政権共闘すべきなのか。あるいは、何を基本政策と位置づけるかが大事で、安保や自衛隊は基本政策ではないのか。それとも、侵略されたら自衛隊を使うのが基本政策だと、共産とが踏み込むことができるのか。そこまでは言えないから、政権共闘はめざさず、閣外協力に止めるのか。

 そのあたりの議論の活発化が必要である。そういう大きな枠組みの議論があって、考え方が整理され、その上で個々の共通政策を作成するという手順が求められると思う。前原さんが、野党共闘は前提から見直すと言っているのは、そういうことを指しているのではないだろうか。前原さんをはじめ保守系議員だって、共産党の票はほしいわけだし、共産党に応援してもらう大義名分をどうつくるかが、今後の焦点になっていくと感じる次第である。