2017年9月5日

 自民党の竹下亘さんの発言が波紋を呼んでいる。「東北だったから良かった」という発言と同列視して批判する人もいる。

 しかし、言葉の使い方に問題なしとは言わないが、言っていることは兵術的には正しいのではないか。もし北朝鮮が日本にミサイルを発射するとしたら、島根を標的にしていても意味がないというのは、当然のことだろう。

 これと関連することだが、北朝鮮が原発をねらってきたら日本はひとたまりもないのだからとして、日本の原発政策を批判する人がいる。原発にミサイルが落ちたら大変なことは事実であり、煽りとしては意味があるかもしれないが、だからといって北朝鮮が原発をねらうかというと、それも兵術的には成り立たない。

 現代の戦争は、まず初戦で、相手の航空基地、レーダーサイトなどを一気に破壊するのが常識である。そうしておけば、相手からの反撃を招かないで、攻撃に専念することができるからだ。だから、北朝鮮がミサイルを日本に撃ってくるとすると、在日米軍基地と航空自衛隊の基地が標的ということになる。原発をピンポイントでねらえるほどの精度があるなら、かならずそうする。

 もちろん、米軍は本土から来援し、北朝鮮を「全滅」させるだろう。しかし、その来援までの時間を稼いで、韓国を火の海にするというのが、北朝鮮の作戦の核心になるはずである。

 だから北朝鮮は島根のことは念頭にない。そういう意味で、竹下さんの発言は地方軽視というようなものではない。島根出身の竹下さんが、その種の発言をするわけがないのだ。

 そういえば、長崎出身の久間さんが、「原爆は仕方がなかった」と発言して問題になったことがあった。あれも原爆投下を擁護する文脈で捉えられて問題になったのだが、久間さんの真意は、日本の侵略がそもそもの根源だというものであって、その文脈でとらえるべき発言だったと思う。

 元に戻って、竹下さんの発言の問題は、兵術的なことまで考え抜いて、「島根には意味がない」としたことではない。その発言は、「広島は人口がいるけど」に続くもので、人口が多いところが標的になると竹下さんは考えている。兵術的に考えた発言ではないということだ。原発がねらわれるというのと同レベルということだ。

 その程度の思考レベルだと、島根にも原発があるのだから、しかも日本で唯一、県庁所在地(松江市)にある原発だから、竹下さんを責めたい人は、そこを突いていけば、追い詰めていくことができるかもね。広島に原発はないのだし。