2017年9月11日

 この難しさは、現在、民進党の側の問題として語られることが多い。とりわけ前原代表になったということで。

 ただ、この問題の本質的な難しさは、前原さんが言っているように、基本政策の違いにある。とりわけ安全保障と自衛隊に関する基本的なところの違いである。

 共産党はそこを回避するため、野党共闘では安保と自衛隊についての独自の見解を持ち出さないと言っている。しかし、具体的なことを想定すると、そう簡単ではないのだね。昨日の「赤旗」をみてそれを感じた。

 何かというと、政府が導入しようとしている「イージス・アショア」に関する記事である。「巨大な基地」「四方に強力な電磁波」などの見出しが躍り、「完成の域にはほど遠い」「完璧な防御は不可能」「際限のない軍拡を引き起こす」「米軍事企業に半永久的な利益をもたらす」と論じられている。

 これは、いちいちもっともな評価である。それ以外にも、こういうものは真っ先に攻撃されるという批判もある。アメリカの衛星からの情報がないと、日本のイージス・システムにせよ、PAC3にせよ動かすことができないなど、アメリカの情報システムのなかに組み込まれてしまうという批判もある。

 これらの批判は当たっているのだ。しかし、民進党は、たとえ政権をとったとしても(その可能性はどんどんなくなっているのが現実だが)、イージス・アショア導入を推進する側に立つだろう。民主党政権のときも推進側にあったわけだから。

 ということは、共産党を含む政権ができたら、最初から正面衝突ということになる。共産党は、閣外に出て政権を崩壊させるか、政権にとどまって自分の信念を裏切るか、どっちかを迫られることになる。

 前原さんのほうも、「赤旗」を見る度に、「この党と政権は組めない」という確信を強めるだろう。武器一つのことでそうなるのだから、日米安保や自衛隊そのものをどうするかで違うということは、本当に共闘できるのかを問うような違いなのだと思う。

 イージス・システムについて言うと、全面否定ととらえさせないような接近もあり得るのではないか。敵基地攻撃能力を日本が獲得することを否定するのであれば、完成度は低いにしても、他に防衛手段がないのが現実だから。攻撃されやすのは現実だが、これがあるから攻撃を探知できるという面もある。

 このシステムはアメリカとの一体化を不可欠にするのだが、それは日本が配備するシステムは、アメリカをICBMから守るためにも不可欠だということであって、日本もまたアメリカの防衛に貢献しているということを強調し、アメリカに恩を売って、対米従属的な姿勢を改めるのに意味があるという側面もあるかもしれない。

 だから、改良を重ねていくのも選択肢だと思うの。だけど、「赤旗」はそれは言えないだろうね。だから野党共闘は難しい。やれやれと言って進むものではない。