2017年9月8日

 本日は一日中、引用文献の読み合わせです。「甦れ! 経済企画庁」みたいなコンセプトの本なんですが、400頁にもなっているんですが、引用文献の多さもすごいんです。

 100冊くらいはあるでしょうね。経済企画庁の「何十年史」みたいなものもありますし、なかには国会図書館のマイクロフィルムからコピーしてきたのもあります。古い時代のことも詳しく書いていますからね。

 個人がそれを横に置いて、目で見ながらパソコンに打ち込むのでは、やはり間違いが多くなるんです。それで文献を全部送ってもらって、一人が読み上げ、一人がゲラを目で追って確認する作業です。

 さすがに一日やっていると目が疲れます。もうだいぶまえから老眼が進行しているなって自覚はあったのですが、なんとかメガネなしにやってきましたけれど、そろそろ無理だと思って、老眼鏡ではなくていま流行のルーペを用意したので、ちゃんと終わることができました。

 そんな引用文献の多い本なんて、おもしろくなさそうと思うでしょう。でも違うんですよ。昔の人はドラマチックに表現していることが多いですね。

 例えば引用文献の一つに『戦後沖縄経済史』という、800頁を超える本があります。これ、琉球銀行が作成したもので、非売品ですけど、米軍の統治下で沖縄の経済がどのようにゆがめられたのかをリアルに解き明かしています。そういうものを琉球銀行が活字に残して、生まれてはじめて沖縄を訪れた経済企画庁幹部の著者に渡し、それを読んだ著者が感銘して、沖縄問題への思いを馳せるということがあるんですね。

 この本を読むと、読者は、引用された方々のもとの本を読みたくなると思います。白州次郎、都留重人、宮崎勇、下村治、大来佐武郎、金森久雄、下河辺淳、その他。

 経済企画庁の栄光と挫折を、人の物語として描いているわけです。先行きの見えない日本経済を前にしている私たちにとって、これを読むと、「こんな官庁を現代に蘇らせたい」と思うこと必至です。