2015年3月16日

 先日、ある大企業のOBの集まりに参加させていただいた。自衛隊や憲法九条などについて好きにしゃべってくれということだった。

 何十年も大企業で働いてきた人たちだから、別に憲法九条や自衛隊に共通の関心があったわけではないと思う。主催者がなぜ私を呼んだかについて、「妥協と原則の問題では自分たちも悩んできたけれども、松竹さんが同じ問題で試行錯誤しているから、その話を聞きたい」ということだった。ああ、なるほどねと思って、好きなことをしゃべらせてもらった。

 そこでいろいろ質問があったのだけれど、さすが、そういう職場で、大資本とも闘い、右寄りの組合とも闘ってきた人たちだ。鋭かったなあ。

 改憲派とどう手を結ぶのかという問題意識も、みなさんにはあった。うれしい。

 改憲派を現在、どう位置づけるかって、大事な作業だと思う。「改憲派は戦争への道を望んでいる」という感じではないのだから。

 これまでの改憲派の中心は、いわゆる専守防衛の改憲派だった。日本を守るのは当然だと考える普通の人々が、自衛隊が違憲のままでは問題があると思って、憲法で自衛隊のことを位置づけたいというのが、主流をなす考え方だったわけだ。

 だけど、安倍さんが進んでいるのは、それとは異なる。自衛のために改憲が必要だというのではなく、海外に出かけていって戦争する、あるいは戦争を支援するのに改憲が必要だというものだ。というより、改憲以前にそういう実績をつくり、改憲のときは既成事実を認めさせるという感じである。

 だから、改憲派のなかに、大きな分裂があるはずなのだ。そんな改憲は考えていないという人は多いはずなのだ。

 だけど、護憲派の側に、改憲派を一色に見る傾向があったかもしれない。従来の改憲派と安倍さん的な改憲派を明確に区別し、くさびを打ち込むような努力が必要である。

 そのためにも、改憲派を口汚くののしるようなやり方は、ただちに止める必要があると思う。具体的にどうすればいいのかまでは、まだ分からないけれど。