2014年3月7日

 3月9日に福島市で開く「音楽のつどい」が迫ってきました。ということで、明日から出張です。

 こんな本格的な音楽企画、はじめての経験です。だから、抜けていること、たくさんあると思います。

 いや、そもそも、福島市音楽堂を借りたとき、「えらく安いなあ」と思っていたら、実は音響関係のお金は別料金だったんですよね。それであわてて、過去2回は無料だった企画なんですが、500円をいただくことになりました。

 今日は今日で、出演者の方から、「舞台監督は誰ですか?」という質問が寄せられて、そんなの決めてないよと大あわて。その質問をしてくれた方が、出演時間以外は舞台監督をやってくださることになって、一安心。

 いやいや、当日、いったい何が起きるのか。失敗を楽しむくらいの気持ちでとも思いますが、お金をいただくわけですから、そういうわけにもいきませんよね。緊張感をもってやります。

 そうそう、出演者のみなさん。朝からリハーサルですけど、お昼のお弁当は「浪江そば」だそうです。テレビでは見たけど、どんなかなあ。それは本当に楽しみ。

 今回も、その後、3.11の日まで相馬、南相馬、浪江などに行ってきます。いつものように被災地の現状を見たり、放射能に汚染されていない農産物をつくっている努力を体験したりしてきます。

 とくに1年前と違うのは、福島第一原発が見える場所まで入れることになったことでしょう。現地の方のなかには「見たくもない」という方もおられますが、私は見たいです。見たときにどんな気持ちになるのか、まったく想像できませんけれども。

 そういうことをやりながら、これからの福島企画をどうしていくのか、現地の方々のご意見を聞いてきたいと思います。長い闘いですから、長い支援が必要です。

 福島に行く前、明日の昼は、東京駅で、大新聞者の文化部の方にお目にかかります。近く、集団的自衛権と解釈改憲について長めの記事を書かれるそうで、『集団的自衛権の深層』を書いた著者に話を聞きたいということでした。京都まで来られるということだったのですが、福島に行く途中ということで、東京駅での出会いになりました。記事のなかでは、ちゃんと本のタイトルも書きますからということですので、話題になったらいいなと思いますが、そんな簡単じゃないでしょうね。

 福島にいる間もブログ記事は書くつもりです。よろしくお願いします。

2014年3月6日

 新年にここで紹介したように、今年は、戦争の原因について考える本を書く予定をしていました。まだまだメモをつくる段階なんだけどね。

 だけど、変更しました。いまの情勢からして、うちの会社としても出さなければならない種類の本があって、それを私が書くことにしたので。

 ひとつは、『虚構の集団的自衛権──「安保法制懇」報告を徹底解剖する』です。すでに政治の話題は集団的自衛権へとシフトしていますが、4月に報告が出されれば、安倍さん、一気に突っ走りそうです。そのときに、うちの出版物としてこの問題がないと、出版社としての役割が果たせません。

 そこで、この報告の解剖と批判に焦点をあて、本を書くことにしました。早ければ6月が閣議決定ということですから、5月にはないと間に合いません。4月に報告がでて、それを読んで書くわけなので、執筆にあてる時間は1週間とか10日ということになるでしょうか。

 もちろん、事前にもそれなりの準備はしますけれども、この報告が今後の改憲勢力の理論的な基礎となるわけですから、それにかみあったものでなければなりません。だから、どうしても読んだ上で書くのでなければね。

 もうひとつは、『13歳からの領土問題』です。6月刊行かな。

 これはシリーズ化されているもので、これまで、『13歳からの平和教室』(浅井基文)、『13歳からのテロ問題』(加藤朗)、『13歳からの拉致問題』(蓮池透)をつくってきました。それに加えるということです。

 安倍さんが教育の分野でもいろいろ企んでいますよね。教育委員会の制度問題とか。同時に、教育内容の分野では、竹島や尖閣についてちゃんと教えろということで、いろんな圧力がかかっています。

 そういうなかで、昨年、学校図書館向けに『領土を考える』という3巻本を出しました。第1巻が「領土ってなに?」、第2巻が「日本の領土問題を考える」、第3巻が「世界の紛争と領土問題」です。

 安倍さんがいろいろ言ってくれるものだからでしょうか、1冊が2800円もするこの本、売れ行き順調なんです。ということで、この内容を、1冊1600円程度の『13歳からの…』シリーズに加えれば、ヒット間違いなしということで。もともと自分で書いたり、監修したりした本なので、つくるのはむずかしくありませんから。

 昨年、『憲法九条の軍事戦略』を書いたときは、「これで出したい本は出し終わった、あとは趣味で」と思ったんです。でも、なかなかそうはいかないもんですね。書きたいものがたくさん出てきました。この次に書きたいのは、韓国や中国との歴史認識にかかわるもので、左右の原理主義を批判しつつ、日中韓の国民的な合意が得られるような本です。どうなるか分かりませんが。

2014年3月5日

 昨日書いたような本をつくるため、学者・研究者の討論を組織するとして、どんな基準で議論したらいいだろうか。是非、多くの方のご意見を寄せてほしいのだが、いま私が考えつくのは以下の通りである。

 やり方としては、「中国は社会主義だ」と考える方から、まずそう考える根拠について提示してもらい、それを議論する方式が望ましいかも。どんな根拠が出てくるだろうか。

 ある有名な中国研究者は、こう言っていた。中国は経済的には資本主義であり、そのなかでも新自由主義への流れが強いが、政治は一党独裁なので社会主義だとみなせる。

 こういう見方は、おそらく国民多数に共通するものだと思う。もちろん、資本主義か社会主義かを分けるのは、経済的生産様式の違いだから、政治は基準にならないという考え方もあるだろう。だけど一方で、一党独裁というのは、基本的には、資本主義以前の社会構成体に対応してきたものであって、そういう点では、中国の現状というのは、封建制から資本主義への過渡期のようなものだと考えることもできる。

 別の有名な方は、国家と共産党の指導部が誠実に社会主義をめざしているから、やはり社会主義をめざす国なのだと発言している。中国の現状にはいろいろな問題がることを承知の上で、指導部がしっかりしていれば大丈夫だということか。

 だけど、指導部が誠実かどうかなんて、その人に接した人にしか判断できない(いや、何回か接した程度で分かるのかなあ)。特定の人しか判断できないものを、資本主義か社会主義かに分ける基準にするのは、どうも科学的でないような気がする。それ以前に、言論の自由すら認めず、弾圧するような指導者を誠実だとみなすのかが、根本的に問題である。

 正論として言われるのは、やはり生産様式のことだろう。中国で資本主義的な要素が強まっていて、格差が拡大し続けていることは否定できないが、それでも国営企業が多かったり、政府の統制が効いていることを基準とすべきという考え方だ。

 実際、リーマンショックなどでの資本主義の混乱の大きさと、他方での中国の混乱の少なさを考えれば、計画的な経済運営が可能な仕組みがあることは、中国の独自性を生みだしているのかもしれない。しかし、それを社会主義の要素だと見るとして、資本主義下の開発独裁との違いはどこにあるのか、その判断基準はむずかしい。せめて国民に利益の多くが回ってくる仕組みがあるかどうかが大事な基準だと思うが、中国の場合、共産党の幹部ではなくて人民が潤っていると言えるのか。

 いや、中国は社会主義をめざしているだけであって、いまは社会主義に到達していないという見方もある。過渡期なのだから、問題があっても、おおめに見てくれということか。

 だけど、過渡期だとしても、資本主義から社会主義への過渡期だというなら、資本主義よりは高いレベルに達しているということになる。どこが資本主義より高いのかということで、結局、これまでの議論が蒸し返されることになる。

 ということで、是非、「こういう論点と基準で」というものをお寄せください。このブログからメールが出せますので。

2014年3月4日

 先日、京都で、うちの会社から出された本の出版記念講演会が開催された。本庄豊さんの『魯迅の愛した内山書店』という本である。

 前にも紹介したが、この本、いまの日中関係のもとで重要な政治的意味がある。国民党政府の弾圧に抗して闘った魯迅、日本政府の弾圧に抗して闘った内山夫妻をはじめとする日本の人々。共通の目的で自国政府と闘う両国人民の間の友好と連帯というものが、この時代にあったわけだ。

 現在も、両国の国民は、何よりも強権的に軍事化の道を進む自国政府と闘わねばならない。それ抜きに「友好」だとか「連帯」を口にしても仕方がない。今回の本は、それをわれわれに教えてくれるのである。

 講演会のあと、主催者である日中友好協会の京都府連のみなさんと懇親会に参加した。こういう名称の組織って、ただ中国と仲良くするのが目的というふうに思われがちし、実際、そういうところもないわけではない。だけど、京都の日中友好協会は、とっても自主的なところだった。そこで話が弾んでしまい、その席で、ふたつの提案をおこない、検討していただけることになった。

 ひとつは、尖閣問題のシンポジウムである。この問題に限らず、いま両国政府間では交渉が途絶えているわけだから、民間レベルで打開していかねばならない。それで、日本と中国の双方から、尖閣問題の識者に参加してもらい、討論するわけだ。

 もちろん、中国の参加者は尖閣は中国領だという持論を展開するだろうし、日本の参加者は日本領だと主張するだろう(そういう人を選ぶし)。だけど同時に、日本政府は領土問題は存在しないという立場でなく中国と話し合えということ、中国政府はいまのように力で現状変更しようとすることは止め交渉を求めろということでは、日中の両方の参加者は一致できるはずだ。そういう中身のシンポジウムをやって、本にして、民間レベルから対話を広げていきたい。問題は、そういうことが話せる中国側の参加者を見つけられるかどうかだろうね。

 もうひとつは、「中国は本当に社会主義なのか」という本の作成である。シンポジウムのようなおおがかりなものでなくても、何らかの討論会は必要だろう。

 中国は自分のことを社会主義だと言っているし、日本の保守的な人々は、それをとらえて「社会主義は人権抑圧国家だし、最近は格差までひどい」などとして、革新的な世論を批判する材料にしている。その革新的な世論のなかでは、「あんな国が社会主義のはずがない」という考え方もあれば、そんなことを言えば革新にとって不利だと分かっているのに、「いや中国は社会主義をめざしている」という認識の方もいる。

 中国をどう捉えるかは、現代世界の中心問題のひとつだが、立場の違う方々が本格的に討論するということがなかったように思う。それを是非やってみたい。

2014年3月3日

福島民報社、
福島民友新聞社、
朝日新聞福島総局、
毎日新聞福島支局、
河北新報社、
テレビユー福島、
福島中央テレビ、、
福島テレビ、
福島放送、
ふくしまFM、
福島コミュニティ放送FMポコ、
ラジオ福島。

 これ、何だと思いますか? 3月9日に福島市で開催する「福島で子育て中の家族集まれ! 音楽のつどい」の後援団体です。すごいでしょ。

 現地の実行委員のみなさんが手分けしてあたってくれたわけですが、すごく歓迎されているようです。だって、福島に根を張ったメディアですから、福島で生きて、福島で子育てする家族をどうしていくのかというのは、当然、最大の関心事のはずなんです。

 それに、出演者の顔ぶれがすばらしい。多面的にすばらしい。

 音楽でいえばZABADAK。そして、あまちゃんの音楽を担当した大友良英さんを生んだ福島高校ジャズ研究部と、その福島高校で授業をしたことをきっかけに関係ができた伊勢崎賢治さん(東京外大教授)のジャズヒケシ。本邦初ですよ、こんな取り組みは。

 そして、出演者は、みんな福島で生きていく人を応援してきた人ばかり。安斎育郎先生は、3.11以降、ずっと福島に入り、放射線を測定し、それを公開して、福島の人々の相談に乗ってきました。伊勢崎さんは、3.11の直後に線量計をもって8キロ圏くらいまで入り、線量の高いところ、低いところがあることを知り、国際紛争にかかわってきたNGOを現地に送って支援してきました。事故直後は、宮城や岩手にはすぐにNGOが入りましたが、福島には国際紛争に行く覚悟のあるNGOしか行けなかったんですね。

 池田香代子さんは、福島から避難してきた母子を支援するネットワークをつくり、同時に、福島で生きていく家族の応援もされてきました。支援を求める人をすべて支援するということです。テルミン演奏で友情出演する菊地誠さん(大阪大学教授)も、放射能問題で悩み苦しむ人のところに出かけていって、お話をされてきました。

 そうそう、その菊地さんとZABADAKの女性ボーカリスト小峰公子さんが、放射能問題で本を出すのです(くやしいけど筑摩書房)。発売は下旬ですが、今回の「つどい」ではお買い求めいただけます。伊勢崎賢治さんが福島高校で授業した本も予定されていましたが(くやしいけど朝日出版)、残念ながら間に合いませんでした。

 ということで、とっても楽しく、心が通い合う「つどい」になると思います。1000人しか入れませんので、遅くきたら追い返されるかも、なんて。私もジャズヒケシのところで、少し挨拶するかもしれません。当日、会場でお会いできればうれしいです。

 あっと、後援のなかに、いま話題の大テレビ局が入っていませんが、大きい会社だけに手続きに時間がかかっているだけだと思います。すごい顔ぶれですねと、担当者が驚いていたようですから。

fukushima14.03.09