2013年10月7日

 ようやく完成です。『超訳マルクス ブラック企業と闘った大先輩の言葉』。お待ちどおさまでした。

 すでに訳者(著者といっていいと思いますが)がブログで紹介しておられます。紙屋高雪さんです。

 紙屋さんは、4年前に弊社が出した『理論劇画マルクス資本論』の解説・構成を担当してくれた方です。築地書館から『オタクコミュニスト超絶マンガ評論』を出していて、プレイボーイなどにも連載をもっておられるので、知っている方も多いと思います。

 担当の編集者として何を感じ、なぜ出すことになったのか、どこを重視したのかなどを書いておきます。この本の趣旨などは、紙屋さんの解説を読んでいただくのが最適です。

 出すきっかけとなったのは、紙屋さんがブログに、『超訳マルクス』を書いたことでした。今回の本はマルクスの5つの論文等の訳なのですが、そのうちのひとつ、「国際労働者協会創立宣言」が載ったのです。

 今となっては思い出せませんが、たぶん、ブログに記事が載ったその日、すぐにメールを出したと思います。これを本にしましょうと。これ、いい判断だったんですよ。その後、うちなんか背伸びしても届かない大手からオファーがあったのですから。アブナイ、アブナイ。

 なぜすぐに反応したかというと、それは、「若者の心にひびく言葉で革命論が語られている」と感じたからです。それ以外にはありません。

 結局、それを探し求めているんです。どうやったら言葉が通じるのかということを。日本社会を変えるのは、国民多数の心をつかまなければなりません。ところが、左翼の言葉があまりひびいていません。少なくとも、多数には届いていない。だから、ほんらいは左翼の側にきておかしくない世論が、小泉さんにまわったり、橋下さんについていったりを繰り返しているわけです。

 それを克服するには、「理論的には正しいのだ」というのではダメだと思います。若者が自分のことだと思えるような形式が伴わなければなりません。具体的にいえば、2ちゃんに書き込んでいるような若者が、「これっておれのこと?」と思えるような言葉が必要なのです。

 そういう言葉を、理論的な水準を落とさずに書けるのは、おそらく紙屋さんが一番手だと思います。(続)