2013年10月28日

 ボヤッと聞いているからなのか、どうも論理がつながらない。日本国内と海外との違いがあるとはいえ、共通の問題のはずなのに。

 先週、一方の日本国内では政府が秘密保護法案の閣議決定をしたことが、重要なニュースとして流れた。他方、海外では、アメリカ政府がドイツのメルケル首相の電話を盗聴していたということが、最重要のニュースだった。

 同じように秘密が問題になっているわけだが、そのつながりが、どうもつかめない。というか、つながりはないのか?

 日本政府が秘密保護法をつくりたいのは、アメリカとの軍事協力を強めようとしているわけだが、そのためには日本の秘密保護の体制に懸念があるから改善せよと、アメリカから求められているからである。アメリカは、テロリストの情報なんかを日本に伝えて、それが漏れたら困るわけだ。だから、日本もドイツなどNATO諸国並にならないとダメだということだ。日本を信用していないのである。

 ところがそのアメリカは、じゃあ、ドイツとかを信用しているかというと、そうではない。そのことが、今回、分かったことだ。メルケルは同盟国のふりをしながらテロリストに関する情報を隠しているのだろう、正面から聞いても答えないだろうから盗聴してやるぞ──それがアメリカの態度だということである。

 つまり、アメリカが同盟国を信用しないのは、秘密保護体制が万全かどうかには関わりないということだ。そして、そんなに不信感を抱いている国に対して、アメリカは、大事な情報を伝えないだろう。秘密保護法があったって、大事な情報を漏らすことはないのだろう。

 9.11テロがあって、アメリカがトラウマになっていることは理解する。でも、アメリカはその結果、イスラム社会からもどんどん敵意で囲まれるようになっただけでなく、同盟国の不信さえ招いているわけだ。いつまでもこんなことをしていては、同盟国に真剣に守ってもらうことはできないだろうし、ますますテロに弱い国になってしまうだろう。

 だから、いまアメリカの同盟国に求められるのは、そのトラウマを解いてあげることである。ところが安倍さんは、アメリカに信用されたくって仕方がないので、アメリカが秘密保護のためには同盟国さえ恫喝したりすることを理解するのだ。それって、トラウマをどんどん深めることにしかならないだろう。同盟国なら、もっとやるべきことがあるだろうにね。