2013年10月29日

 まあ、予想していたことだけど、やはりね。昨日の毎日新聞は、1面トップで以下のように報道している。

 「政府が、憲法解釈で禁じられた集団的自衛権の行使について、「自国の存立」が損なわれる事態に限って容認する方向で検討していることが分かった」

 59年の砂川事件最高裁判決で、「わが国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとりうる」としていることに着目したそうだ。そして、個別的自衛権はそのようなものだが、集団的自衛権の中にも「わが国を防衛するために必要最小限度の範囲」のものがあるとして、解釈改憲の論理に仕立て上げるということである。

 いやはや。支離滅裂。

 この間の議論を聞いていて、おそらくそういうことにするのだろうとは思っていた。集団的自衛権というのは、地球のどこで侵略が起きても、侵略された国を守りにいくというのが、もともとの建前である。だから、高見沢さんが正直に言ったように、地球の裏側まで行くのが普通なのだ。ところが、それは評判が悪いものだから、地理的にも日本の近くに限定し、想定する事態も日本とかかわりのありそうなものを選ぶというわけである。

 これはおかしい。二重におかしい。

 だって、まず、日本周辺で日本の平和と安全に影響を及ぼす事態で何をするのかは、すでに決まっている。賛否は別にして、「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」がある。この「周辺事態」って、「そのまま放置すれば、日本に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等、日本周辺の地域における日本の平和及び安全に重要な影響を与える事態」だと定義されている。

 ということは、「わが国を防衛するために必要最小限度の範囲」だから、この法律をつくったのだろう。しかもこの法律、まだ一度も発動されていないわけで、現実的な必要性に疑問符がついているのに、なぜ憲法解釈を変えてまで別の法律をつくるのか、まったく理解不能である。

 アメリカは、この法律をつくるため、いろいろな圧力をかけてきた。それに満足して、いま、何か求めているわけではない。だって、侵略の過去をもつ日本には後方で支援するのにとどめておかないと、かつて侵略した国の領土、領海、領空まで自衛隊がやってくると、相手国の戦意が高揚してしまって、アメリカが困るわけだから。(続)