2014年10月21日

 家族会や議連の評判は良くないが、私は支持する。それで事態が前向きに進むと楽観するわけではないが、その方向しかないと思う。

 これまでも書いたように、拉致問題をどう解決するかをめぐって、北朝鮮の指導部はふたつに割れている。日本に対して納得できる調査結果を報告しない限り事態は進まないというグループと、そういう必要はないというグループと。もともと北朝鮮がつくった調査委員会はそのふたつのグループの集合体のようなものだ。

 まあ、割れているといっても、後者の方が圧倒的に優勢である。だって権力の中枢にいる人びとだからね。そして、「解決済み」という基本線の報告書を出そうとした。それに対して、「それでは日本側は納得しないし、制裁も解除されない。経済援助につながる国交正常化にも至らない」として、前者の側がギリギリの抵抗をしているというのが、この問題の現状だと感じる。

 とはいえ、それはまさに「抵抗」程度のものであって、前者のグループは、後者のグループを説得するだけの力を持たない。だから、日本政府に来てもらって、後者のグループに会わせて、日本側の見解を直接伝えてくれというのが、招待に至った経緯なのだろう。

 もちろん、日本側が見解を伝えたからといって、後者のグループが考えをすぐ変えるというほど、甘くはない。当然のことだ。

 しかし、納得できる調査結果が示されない限り、制裁の解除もましてや国交正常化もないという確固とした姿勢を、北朝鮮の権力中枢に示すことはできる。後者のグループが考えを変えない限り、北朝鮮は何の利益も得られないことを伝えることはできる。

 北朝鮮では、権力中枢に歯向かう人びとは、多くが粛正されてきた。歯向かうまではしないが不満を持つ人は、大量に脱北を試みてきた。そういうことがあるから、体制を変える力というのは、国内的にはほとんど期待できないのが現状であろう。

 だから、北朝鮮に対する制裁を強化して苦境に追いやっても、それが政府への打撃となっていかない。どんなに可能性が低くても、北朝鮮政府に対して、直接、納得できる調査結果が必要だということを伝え、分からせる必要があるのだ。

 それは民間ベースでも必要かもしれない。先日韓国に行った時、日本からそういう趣旨で北朝鮮を訪問する場合があることを想定し、その際には通訳をしてくれる人を確保してきた。そんな仕事をした場合、韓国に再入国することは難しくなるけれども、そうなったら十数年に及び韓国住まいを終えて、日本に戻ってくるそうだ。そういう機会が訪れることを望む。