2014年10月2日

 コミュニストのマンガ評論家、紙屋高雪さんをご存じだろうか。ブログも評判が高い。
 うちからは、ふたつの本を出している。『理論劇画マルクス「資本論」』『超訳マルクス』だ。さすがコミュニストだね。

 その紙屋さんが、小学館新書を出した。それが『“町内会”は義務ですか?』。サブタイトルが、「コミュニティーと自由の実践」となっている。他社の本だけど、うちの著者でもあるし、敬意を表して取り上げておくか。

 町内会とか自治会とか、住んでいる場所にあるよね。回覧板とか回ってくるヤツ。私はほとんど集合住宅暮らしなので、町内会という言葉に接することはなかったけど、どっちの同じ機能。

 こういうのって必要なものだと思う。だけど同時に、忙しいから、あまりいろいろ言わないでねという感じの対応かな。少し正確は違うけど、PTAとか保護者会とかでも、同じような問題に直面する。

 私は、それはまじめにやった。保育園の保護者会では、会長を2年間もやった。小学校のPTAでは「役員選考委員」という、誰もやりたがらない仕事を引き受けた。

 理由は簡単。保育園の保護者会は、もともと仕事を持っている人の集まりなので、会議は夜だけだし短いし。それに若いお母さんと話してると楽しいし。

 「役員選考委員」というのは、時期のPTA役員をお願いする係。説得できないと自分がやることになるので、みんな敬遠するんだけど、私は保育園のときのつながりがあるので、大丈夫だった。この係は、昼間の会議に出ないでいいのが、選んだ理由の1番手だったんだけどね。

 だけど、自治会は、まだやってない。ややこしいなと思う気持ちもあったが、割と大規模な集合住宅だったので、ずっと役員でやっている人がいて、お鉢が回ってこなかったこともあす。

 で、紙屋さんのこの本である。町内会について私と同じ程度の(失礼)認識だったのに、ことの流れで会長を引き受けることになった著者の体験談だ。そして、その体験から導きだした「コミュニティーと自由の実践」にまつわる理論書ともいえる。

 ほとんど強制加入みたいになっている状況、会長ともなればいろいろな会議に出ることを求められる、それを断るといつの日かつるし上げにある。だけど、夏祭りぐらいはやりたいねと思う人びともいる。

 そういうなかで、紙屋さんは、縛りのきついやり方をやめ、完全ボランティア制の町内会をつくっていく。その話の流れが面白く、ためになる。そして、そういう町内会こそが、いまの自体に求められていることを証明していきうのだ。

 すごく読みやすい。1時間少しで読めると思うので、是非、手にとってほしい。

 それにしても紙屋さん、見かけによらず、撃たれ強いね。そういう資質、将来にわたって必要ですから、大切にしてください。