2014年10月27日

 予告していたように、昨日、はじめて慰安婦問題でお話しした。といっても、半分は自衛隊問題だったので、そう長い時間ではなかったけれども。ただ、質問は慰安婦問題に集中したので、かなりまとまってお話しできたことも事実だ。

 はじめてだし、レジメにできるほど頭のなかでまとまってなくて、思っていることを断片的にお話しする方式だった。1000円も会費を払う人には申し訳なかったかな。

 まあ、だけど、熱心に聞いていただいた。ご質問やご意見も活発だった。この問題をなんとか終結に導くことに、多くの方が関心を持っておられるのだと思う。

 また、私なりに、これを本としてまとめる方向は見えてきたつもり。昨日のお話とご質問、ご意見はかみ合っていたと思うから。

 この問題では、非常に大きく意見が対立しているように見えて、実際に対立しているわけだが、私から見ると、わざわざ対立を過大に見せかけているという要素があると思う。お互いにである。

 たとえば、慰安婦問題の市民運動に熱心に携わって来られた方からすると、いまの読売とか産経などは、慰安婦が存在していたこと自体を否定しているかのよう見えるらしい。慰安婦「問題」は存在しないと主張しているのを、慰安婦は存在しないと言っているかのように捉えたりする傾向があるわけだ。まあ、この激しい対立のなかで、ネット右翼などのなかには言いたい放題の人もいるから、そう受け取るの人がいるのも仕方ない面はあるのだけれどね。

 だけど、政治的立場は違っても、慰安婦が存在していたことを否定する人はいない。また、慰安婦制度というものが、日本の国家的な要請でつくられ、国家が管理していたことを否定する人もいないだろう。

 よく引き合いに出されることだが、この問題が国会で議論された当初、厚生省の役人が「民間がやったこと」と答弁したことが、韓国や日本の市民運動で大きな問題となった。だけど、そのことは、当時から右翼メディアも問題にしていて、たとえば河野談話が出た翌日の産経新聞主張は、「慰安婦問題が政治問題化して以来の政府の対応は怠慢にして不誠実きわまりないものだった。最初は「軍が関与したことはない」と言い逃れ」とのべ、その答弁が問題を大きくしたことを批判したりしていた。軍が関与していたことは、産経にとっても当然の認識であって、誰もそれを否定する人はいないのだ。

 だから、よく、慰安所の設置や管理、慰安婦の移送に政府や軍が関与していることを示す事例を発掘して、「政府の言い分が崩れた」という言い方をする人がいるが、それは完全にずれていると感じる。そんな実例をいくら持ってきても、政府も右翼メディアも痛くもかゆくもない。(続)