2015年1月9日

 毎年、ジュンク堂が出しているんです。全店合計で売上の多い出版社の順位を、300社まで。

 2012年、うちは創業以来初めて、その300社以内に入りました(299位だったかな)。2013年、280位台になり、最近明らかになった2014年の数字が、なんと271位だったんです。その前の年と比べ、売上の冊数が16.7%伸びていて、売上の金額は13.7%伸びています。

 売上金額の上位10社のうち、前年より売上冊数が伸びたのは新潮社(5位)と学研(6位)だけで、講談社、KADOKAWA、集英社、小学館(以上が4位まで)、岩波(7位)、文藝春秋(8位)と軒並み落ちています。まあ、相手が大きすぎて比較の対象にはなりませんが、がんばっていることは確かでしょう。ちなみに、9位はダイヤモンド社、10位は幻冬舎です。

 こうやって、がんばっているつもりなんですけど、がんばってもがんばっても苦しさは続く、という感じですよね、この業界は。経営のことなんか心配せず、いい本をつくることにだけ専念できた時代があるそうですけど、一度でいいから、そんな時代に出版社にいたかったです。

 ま、グチを言っても仕方ありません。毎年10位ずつあがっていって、退職するまでに200位を切ることを目標にしようかな。

 今年も、いろいろ意欲的な本を準備しています。いくつかだけご紹介すると……。

 「世界の言葉で「平和」って何て言うの?」みたいな本。学校図書館向けです。世界の16言語を対象にして、いまその言語を話す若者に、その国の「平和」の意味を取材している最中。国によって「平和」と言っても、意味が違うんですよね。だから、「平和にやろうね」とコミュニケートしても、全然違った理解だったりします。そこを理解し合おうという本です。

 「福島から日本を撃つ」みたいな本。これは、以前少し紹介しましたが、福島地裁で行われている原発訴訟(生業訴訟)の進行に合わせ、この問題に関心のある方々をお呼びし、講演してもらい、それを本にするものです。前に書いたより講演者が増えて、「あっ!」という方も加わっているので、お楽しみに。3.11以来、踏みつけにされてきた福島からこの日本を変えていくという、狼煙のような本にしたいと思います。

 そして沖縄の県知事選挙、総選挙の本。どういう努力が「保革共闘」を生みだしたのか、沖縄限定にしないためにはどんな努力が必要なのか、そんなことをリアルに伝わる本にしたいなと考えています。

 それ以外にも、いろいろです。今年もまた、20冊以上の本を編集することになるでしょうか。自分自身で書くのは、ゴールデンウィーク明けに出てくる安全保障法制の批判本と、他社から出す予定の「慰安婦問題を終わらせる政治学」です。

 今年もよろしく。