2015年1月19日

 昨日は京都で内田樹先生の講演会があり、200名満席の盛況でした。月初めには事前予約人数を突破して締め切ったので、このブログでご紹介することも控えたほどです。

 いやあ、すごい講演でした。タイトルは「日本人はいつまで「戦後○○年」と言い続けるのか」でして、イタリア、フランス、ドイツ、日本の敗戦論を比較しつつ、そこに鋭く切り込んだお話です。110分ほど話し続け、質疑の時間もたっぷりとお話しされました。

 いろいろな要素から成り立つお話ですが、たとえば日本の場合、悪いのはA級戦犯で国民も被害者という構図で切り抜けようとしたけど、その物語が通用しないというのが、現在の問題点だということでした。これだと、高市早苗さんのように、「自分の世代は関係ない」という言い方が通用してしまう。そうではなくて、こんな考え方が必要ではないかということを提示されたわけです。先生がこういう角度でお話しされるのは、おそらく初めてではないでしょうかね。

 内田先生、今年は基本的に講演会は断るとされています。実際、私もいくつか仲介を頼まれましたが、すべて断られています。そのなかで実施された貴重な講演会ですので、何らかの形で読者のみなさんにお伝えできればと思っています。しばらくお待ちください。

 で、朝、東京を出て講演会で司会をして、懇親会。その後、夜8時過ぎの新幹線でまた東京に来て、明日まで、いろいろ仕事をします。ということで、あまりに忙しくて、ブログの記事を考える余裕がありません。なので、近く出す本の紹介だけ。

 まず、これです。『文化面から捉えた東日本大震災の教訓』。サブタイトルは「ミュージアム政策から見る生活の転換」です。

チラシ東日本大震災と文化

 阪神大震災を期に、大きな災害が起きたとき、まず初動段階で文化面での被災状況を捉えたり、可能な場合は必要な救援をしたりという機運が高まっているんですね。それが今回の東日本大震災ではかなりやられたようです。

 この本は、まずそれを紹介しつつ、都道府県別、問題別に被災の実態と復興の課題を明らかにしたものです。予告しているように370ページ程度になりますが、これほど包括的に明らかにしたのは、この本が最初ということになるのではないでしょうか。