2016年3月7日

 参議院選挙に向かうにつれて、これが大事になってくると思われる。安倍さんが「今度の選挙は自公VS民共の対決だ」と言ったのも、野党は野合していると印象づけるためのもので、これからますます強まってくるだろう。

 野合論って、共産党の政策が他の野党とは違うということを強調することにより、他の野党の腰を引かせるところに狙いがある。あるいは保守層が近づかないようにすることも狙いかもしれない。同時に、これまで理想の実現を願って共産党に投票してきた人に対して、「あんな野党に投票できるのか」と牽制する意味もあるだろうね。

 狙いがいろいろあるのだから、反論もいろいろあっていい。だから、これからこのブログでも論じていくつもり。

 野合論の中心にあるのは、安全保障政策の違いである。日米安保どころか自衛隊も認めない共産党と手を組むのはどうかというものだ。

 これについても、いろいろな反論があり得る。ただ、「自衛隊を活かす会」の取り組みをやってきたものとして言えば、安全保障政策は他の分野の政策と比べても野合論が通用しないことを強調しておきたい。

 それはなぜかというと、「自衛隊を活かす会」が昨年5月に公表した提言(「変貌する安全保障環境における「専守防衛」と自衛隊の役割」)が、野党が協力しあうための政策の基礎になると考えているからである。この「提言」にはそういう目的があることを、「会」代表の柳澤協二さんは、昨年6月に出した本(『新安保法制は日本をどこに導くか』)で、次のように言っている。

 「これは、いま安倍政権が進んでいる道への批判です。同時に、それに対抗する側の政策提言の基礎になると自負しています。先ほど、護憲派が戦争のことをリアルに語ることが大事だと述べましたが、防衛戦略を持つ護憲派になっていくことが、安倍政権に対抗する力をつけていく上で、きわめて大事なのではないかと考えます。是非、多くの方々に読んでいただき、活発に議論してほしいと思います」

 いやあ、この時点で、いまの野党共闘の動きを読んでいたみたい。すごいね。

 「自衛隊を活かす会」って、世論的にはまだあまり認知されていないが、政党や国会議員への働きかけは、特別に重視してきた。シンポジウムの大半は国会の議員会館で開いてきたし、チラシは議員の数だけ印刷し、複数の政党関係者の協力を得て、事前に全戸配布している。これとは別に、各党の政審会長には毎回案内を出している。

 野党関係者には、「提言」をそのまま採用してほしいとは言わないけれど、是非、叩き台にして議論をしてほしい。そうすれば、一番隔たりが大きいと思われていた安全保障政策の分野で、野合論を許さない気持ちよい協力関係が築けるはずなのだ。

 共産党が国民連合政府構想の発表とともに、この連合政府のもとで自衛隊や日米安保条約の活用という方針を打ちだした。そのことがもっと宣伝され、民主や維新の支持者、共産党の支持者に自覚されていけば、野合論はまったく通用しなくなるし、野党が協力するのも当然だということになるだろう。野党間の違いよりも、「提言」と自民党の安全保障政策の違いのほうが、ずっと大きいことに世論が気づいていくはずだ。