2016年3月26日

 昨日は、トリーアからフランクフルトへ。明日、イギリスに行くため、ハブ空港のあるところへ来たということもあるんですが、それに加え、どうしても行きたい場所があったんです。

 それは聖パウルス教会。フランクフルト憲法を審議した場所と言って分かるでしょうか。

 教会の入り口にケネディのレリーフがあって、「ここは自由が誕生した場所だ」という演説の一句が彫り込まれていました。フランクフルト憲法のことをそういうふうに位置づけているんですね。

 日本ではあまり有名ではない憲法ですが、1848年のドイツ3月革命のなかで誕生した憲法です。革命があって、ドイツ全土で男子の普通選挙をやって議会をつくり、憲法を審議することになるんです。その議会が、この聖パウルス教会で開かれたというわけです。

 そこでつくられた憲法が、その後の各国の憲法にとっても大きな影響を与えます。だって、国民の自由と権利をはじめてかなり包括的に歌い上げたんです。政治的な権利だけじゃなく、無償で教育を受ける権利とか、いまでいう社会権まで入っています。

 その草案を中心になってつくったのが、この旅に同行している池田香代子さんが多くの訳をしているグリム童話のグリム兄弟のお兄さんのほうです。そのことを教会に向かうバスの中で池田さんが説明していると、憲法の内容を説明する前にバスが着いてしまって、仕方ないので残りは夕方にどこかでと思っていたんです。

 そうしたら、その元議事堂に行ってみると、そこには全員が入れて、声をあげて説明をしていいということになっていて。だから、池田さんが壇上のところにたって、グリムの指定席だったという最前列中央に自分の荷物を置いて、ツアー参加者に憲法の中心条項を読み上げ、説明することになりました。

 いやあ、こんな偶然、すごいです。池田さんも目がウルウル。

 だけど、マルクスとエンゲルスは、48年6月に創刊した「新ライン新聞」創刊号で「フランクフルト議会」と題した論説を出しているんですけど(執筆はエンゲルス)、フランクフルト憲法をけちょんけちょんに批判しているんですね。なぜそんなことになったのかを、「マルクスの旅」にふさわしく、本日朝、空港に向かうバスのなかで説明しておきます。