2016年3月17日

 昨日に続き、編集中の本の話題を。「両国元外交官・大学生の提言」がサブタイトルです。表紙はまだ検討中のものなので流出させないでくださいね。

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 この私のブログでは、中国を批判することはあっても、褒めることはまずありません。それは、批判すべきことのほうが多い国だという現実の反映でしょうが、そうやって批判の多い国に対する批判をためらっていると、日本の左翼は中国と同類だと思われてしまって、退潮傾向から脱することができないという判断から来るものでもあります。

 以前、朝日新聞の幹部と飲んでいたとき、「朝日は中国を批判しないと右翼からバッシングされるけど、ちゃんと批判しているんだけどなあ」とぼやいていました。だけど、中国シンパと思われている勢力は、ちゃんと中国を批判しているという程度ではダメで、批判しすぎるくらいでちょうといいと思うんですよ。

 まあ、それは本日のテーマではないので、本の話題に。著者の陣容がまずすごい。丹羽宇一郎前中国大使をはじめ、「元外交官の提言」というタイトルにふさわしいと思います。

 くわえて注目してほしいのは、「大学生の提言」に関わる問題です。この本、日本の4大学、中国の4大学の学生が集まり、日中関係をどう打開するかというテーマで話し合った記録なんです。

 昨年、名古屋外国語大学(知らなかったけれど、亀山郁夫さんが現在の学長です)が、そういう討論会をやることを決め、外務省などの後援を得て実施されたのです。現在の日中関係のもとで、そういうことが必要だと自覚し、実際にやり遂げることがすごいと思います。

 その場で、元外交官3人が講演したわけです。お互いの国をよく知る人のものだから、中国のどこが問題で、日本のどこが問題でということが、実際の外交活動の経験にもとづき、リアルに語られています。

 学生の討論もすごいんです。予定調和でない討論というか、節度はあるんですが、「お前の国は問題があるよね」という率直な議論がされています。その上で、どう関係を改善していくか話し合っているわけです。

 結局、こうやって本音の討論をくり広げていくしかないんでしょうね。職場でも地域でも大学でも。

 名古屋でやったのは、1970年代はじめ、ピンポン外交と呼ばれましたが、中国が名古屋の世界卓球大会に始めて参加して、日中関係を改善する機会になったという歴史があるからなんです。高校生で卓球部に所属していた私も、名古屋に見に行ったんですよ。なつかしい。