2016年4月7日

 昨日、中日(東京)新聞で中国特派員経験が長く、現在は大学で先生をしておられる方と、長時間話し合っていた。もちろん主題は中国問題。

 どんな中国本をだすべきかは難しい。書店に並んでいるのは、いわゆるバッシングばかりで、それが売れ筋である。それらは問題点満載であるが、それを批判するような本を出すと、「オマエは中国の味方か」みたいに受け取られ、読者から受け入れられることはない。実際、中国の主張、行動は「味方」してはならないものなので、中国バッシングを批判することを主題とする本(雑誌論文もだが)というのは、売れないというだけでなく、かなり間違ったアプローチになると思う。

 昨日の研究者も、習近平政権下の言論弾圧にふれておられた。3年前は新聞に登場して中国の抱える問題を深く分析してくれた方が、最近再び接近しようとしたら、「もう私には近づかないでくれ」と拒否してきたとか。中国の言論弾圧問題は、ニュースではいろいろ報じられているけれども、急に身近に感じることとなった。

 こんな状況下で、「中国脅威論は間違っている」とだけ強調することは、それこそ「間違っている」だろう。安倍政権の軍事優先路線を批判する勢力が、「中国脅威論は間違っている」と言ってしまえば、中国の問題点に目をふさぐ勢力とみなされ、安倍政権への批判も説得力を失うだろう。

 そこを乗り越える名案はない。昨日、案として浮上したのは、米中の軍事関係を分析した本は必要だよねということだ。

 南シナ海で米軍が「航行の自由」作戦を展開し、中国も対抗して艦船を派遣し、緊張状態がつくられた。これって、お互い、自国の国民を納得させるために必要なことだったと思う。

 同時に、米中の両軍が事を構えることはなかったし、お互い、それを意識しながら行動しているように見えた。おそらくウラでは何らかの了解があったのだろう。米軍の軍事演習に中国軍が招かれるような関係もあるから、そういう微妙な状態も機能していると思われる。

 そういう軍事関係の実態、意味が分かるような本を出したい。「軍事には軍事で対抗してはならない」という本ではなく、「どういう軍事関係をつくりあげるべきか」という本。問題は筆者が見つかるかなんだけどね。