2016年11月17日

 昨日論じた共産党の大会決議案が公表されました。日米安保と自衛隊のところに要注目です。

 2000年の22回大会で、自衛隊解消までの3段階論が出されて、今回も「段階」という言葉は使われていませんが、自衛隊も安保もある、安保はなくすが自衛隊はある、自衛隊もなくなる、という3つの時期に区別して考え方が述べられています。だから、基本的に同じことが書かれているかといえば、そうではありませんね。

 一つは、自衛隊が存在する「期間」について、22回大会では「一定の期間」だとして、どのくらいか明示していませんでした。短いのか長いのかも分からなかった。今回、それを「かなりの長期間」として、短期間ではないことが明確にされています。今回はまだ書かれていませんが、自衛隊を「かなりの長期間」運用するとなれば、どう運用していくかについても、これから明らかにされていくことが求められることになるでしょう。

 もう一つは、自衛隊を活用する段階の問題です。今回、3つの段階を一括して叙述した上で、「こういう期間に……自衛隊を活用する」として、現在から自衛隊がなくなるまで、自衛隊を活用することが明確にされました。ここは大きな変化です。

 十数年前、小池晃さんから「党の有権解釈」だとして聞いたことですが、22回大会の決議は、第1段階では自衛隊の活用は想定していないということでした。大会決議の議案の段階では第1段階も含むと誤解されるような表現があったけれども、そこを大会期間中に修正したのでだということだったのです。たしかに、この決議には、次のような修正が加わっていました。

 「……これは一定の期間、憲法と自衛隊との矛盾がつづくということだが……矛盾を引き継ぎながら、それを憲法九条の完全実施の方向で解消することをめざすのが、民主連合政府に参加するわが党の立場である」

 これを加えた上で、そのまま続けて「そうした過渡的な時期に、……自衛隊を国民の安全のために活用する」となっているのです。これは、「過渡的な時期」とは、第2段階である「民主連合政府」の時期であることを示すものだというのが、小池さんから伺った「党の有権解釈」でした。

 この大会の最終日、この部分をなぜ修正したのかという理由が、志位委員長より3つ示されましたが、そのような説明はされていません。だから、ほとんどの人は気づかなかったんですね。

 まあでも、共産党が呼びかけている「国民連合政府」は、自衛隊も日米安保も運用するわけで、当然でしょう。自衛隊を「かなりの長期間」運用するわけですから、民進党との間での政策協議では、どう運用するかについて、突っ込んで話し合いをしてほしいと思います。

 3つめは、この方針を、「憲法を守ることと、国民の命を守ることの、両方を真剣に追求する」立場だとしたことです。これは、先の参議院選挙の法定ビラで打ち出したことですが、正式の方針になりました。

 これまでは、「侵略されたら自衛隊で反撃して国民の命を守る」と言ったら、「第1段階では違うから、そう言うのは間違い」ということでしたが、これからは言えるようになったわけです。小池さん、良かったですね。