2016年11月18日

 さらに大きな違いがあります。日米安保条約と自衛隊の位置づけが異なるのを明確にしたことです。

 22回大会では、第2段階で日米安保をなくし、第3段階で自衛隊をなくすということで、違いはあったんです。でも、その理由までは書いていませんでした。「安保廃棄についての国民的合意が達成されることと、自衛隊解消の国民的合意とはおのずから別個の問題」だとして、なぜ「おのずから」違うのかは書いていませんでした。

 だから当時、「ものごとを軍事力で解決しない、外交でやるんだという基本的な見地からすれば、安保も自衛隊も同時になくすべきだ」という意見もだいぶありました。軍事かどうかを基準に置くとこうなるわけです。

 今回の26回大会議案では、安保条約が日本と平和と安全にとって問題だということを詳しく書いていて、だからなくすのだと主張しています。一方、自衛隊については、その存在が日本の平和と安全に問題だとは書いていません。問題点は「憲法違反」というだけです。

 「憲法違反」というのは、「条文の解釈からすればこうだ」という、あくまで法律論なんですね。自衛隊が憲法に違反するかどうかということと、それが日本の平和と安全にとって必要かどうかということは、まったく別の性質を持つ事柄です。

 そして、後者の点でどうかというと、「自衛隊を活用する」ことが書かれている同じ段落で、「国民の命を守る」ためにそれが必要だとされているわけです。ほんのりですが、安保条約と異なって、日本の平和と安全にとっての自衛隊という位置づけをしていることが伺えます。この要素を大事にして、自衛隊の活用を基本政策ということにしていけるなら、民進党との政策協議も期待できるでしょう。

 問題は二つあります。一つは、安保条約全面否定という立場と、国民連合政府では安保を維持するという立場の整合性ですね。この大会議案の立場では民進党との政策協議は決裂するでしょうし、これだけ否定しているものをなぜ国民連合政府では維持するのかということでは、説得力ある説明がないと国民は納得しないでしょう。

 もう一つは、「かなりの長期間にわたって、自衛隊と共存する」のは当然なんですが、憲法違反のものと長期間共存する論理をどうするのかということです。一つ目の問題も含め、私なりの考え方は、そのうち書くようにします。