2016年11月21日

 解散風が吹いた10月はじめ、このブログで、「年末年始解散は、ない」、と書いた。特に年末に山口県で開かれる日ロ首脳会談の成果を持って解散なんてあり得ない、と書いた。だって、領土問題で日本側の主張が通るかたちで成果があがるなんて、いまの日ロ交渉を見ていてあり得ないからだった。

 それにもかかわらず、佐藤優さんをはじめ、会談に期待する声が止まない。返還は歯舞・色丹の2島だけで、国後・択捉は主権をあいまいにするかたちで決着するのだ、いくら右翼が騒いでも、安倍さんならおさえられるというのが、その根拠だった。それで、「北方領土問題の論点」という6回ものの連載記事を書いたわけである。

 だけど、本日の報道を見ると、突然、安倍さん自身、成果が見込めないと感じ始めたようである。ということは、これまで安倍さんって、本気で4島返還というか、4島とも日本の主権を確認できる(施政権はロシア側に残すにしても)と思っていたということだ。何とリアリティが欠如していることか。

 昨年末のことだけど、安倍政権が崩壊するとしたら、そのきっかけになるのは外交問題ではないかと思い、「安倍政権は外交でつまずく」という記事を書いた。なぜ外交かというと、当時、日ロ首脳会談の年内開催を安倍さんが切望していて、いまにも領土問題で合意ができる見込みがありそうなのかと思っていたら、プーチンさんの来日そのものが立ち消えになったからだ。何も根拠がないのに進展すると思っている安倍さんの心情が、これではつまずくなと思わせたわけである。

 今回はプーチンさん、来るだろう。だけど、やってくるのは、領土問題で譲歩する気遣いがない一方、経済的な利益は多大なものが期待できそうだから。

 それにしても、いったい誰が、安倍政権の領土問題を取り仕切っているのだろうか。展望のない迷走とは、このことである。

 こんな外交チームがトランプさん相手に、いったいどうなることやら。内政は、野党共闘の先行きがなかなか見えずらく、向かうところ敵なしみたいになっているから、気軽にできるんだろう。だけど、外交は相手があるわけだ。アメリカの国益第一で押してくる相手に対して、これでは四つに組めないでしょ。やはり「安倍政権は外交でつまずく」んじゃないかな。