2016年11月24日

 平凡社から電話があり、1月発売が決まりました(新書です)。当初、2月か3月かという話だったのですが、トランプさんの当選で風向きが変わったというか強まったというべきか。就任式のある20日に向けて書店に積んでおこうということになったんでしょうね。

 本の帯も、当初は、本のタイトルを語るにふさわしい著名人による推薦文を考えていましたが、これも変わりました。そうです、トランプさんの顔写真を持ってきて、「日米関係の岐路にどう臨むべきかを提唱!」みたいなものになる予定です。

 タイムリーと言えばそうなんですが、もともと、この時期に出そうと思ったのは、大統領が誰になるのであれ、選挙と就任と初期の演説などを通じて、日米関係が世論の争点に浮上すると思ったからです。それで私としてはこの本を出すし、「自衛隊を活かす会」の3人の呼びかけ人による本も別の出版社から予定しているんです(こっちは『新・自衛隊論』に続く『新・日米安保論』というタイトルかな)。

 以前は、日米関係をめぐって、それなりに摩擦があり、国民のなかにも議論があったと思います。思いやり予算が導入される時だって、政府のなかにも多少は理不尽だという思いがあって、苦渋の選択だったわけです。ソ連が崩壊した時も、最後は安保再定義ということで日米関係に変化はなかったわけですが、当初、細川内閣が多角的安全保障を模索した時期もありました。

 安全保障だけではありません。以前は、よく「通商摩擦」とか「経済摩擦」とか、「摩擦」という言葉が使われましたよね。安全保障の場合、強いアメリカに頼るということになるのは日本政府の思考過程として理解できるんですが、経済面では国益をかけてやらないと日本経済の存立にかかわるわけで、「摩擦」が生まれる程度には日本もがんばった局面があったということです。でも、ここ10年ほど、「摩擦」は死語になってしまっていましたよね。対米従属は時間の経過とともに深まるばかりなんです。

 トランプさんの登場は、ここを変えるというか、議論するきっかけになると感じます。おカネの面でも安全保障の面でも、これ以上は無理というところまで日本はアメリカに奉仕しているのに、トランプ大統領が「国益第一」で日本に攻勢をかけてくるわけですから、日本の姿勢が問われてくる。攻勢をかわそうとかいうのでは、手ひどいダメージを受けるでしょう。四つに組まなければならない状況が生まれるわけです。

 『対米従属の謎』は、その「謎」を分析することによって、どうやったらアメリカと四つに組めるようになるのか、それを提唱したものです。注目されるといいな。