2013年11月21日

 昨晩、福島に行きました。来年3月9日に福島市音楽堂で開催する企画の相談です。

 かもがわ出版は、3.11の1年目、福島の浜通で、伊勢﨑賢治さんのジャズヒケシと蓮池透さんの講演会を開きました。詳しい経過ははぶきますが、これだけの事故が起きて、出版にも全力をあげたわけですが、ただ本をつくるというだけでなく、3.11の日は、体も福島に寄せていたかったという感じでした。

 そして、2年目の今年もやりました。池田香代子さん、齋藤紀さん、清水修二さんにいよる福島再生をテーマにしたシンポジウムです。

 3年目の来年、場所を浜通りから福島市に移します。そうなったのにはふたつの理由があります。

 ひとつは、伊勢﨑賢治さんが福島高校の社会科の授業を教える機会があって、つながりができたのです。そうしたら、そこに全国でも珍しい高校生のジャズ研究部があることがわかって、そのジョイントをやるなら福島市内ということになりました。このジャズ研、「あまちゃん」の音楽を担当して評判になった大友良英さんが、第3代の部長をやったことでも有名です。

 もうひとつは、弊社の事情です。この6月、「あの日からずっと、福島・渡利で子育てしてきました」という本を出したのです。

 福島で育っている高校生が主役で出演し、福島市・渡利の子育ての本を出したわけですから、これは福島でやるしかありません。それも子育て関連企画になるのは自然な流れでした。

 それで、本の著者である佐藤さんご夫妻と話し合い、いろいろ準備をしてきたのです。そして昨日、さらに他の子育て中の方も加えて、議論をしてみました。

 いやあ、なかなか難しいですねえ。福島で子育てすると決断した人も、避難した人も、避難先から帰ってきた人も、みんなが出演し、理解し合える企画にしようとしたのです。それ自体は、いつかは求められることだと思います。だけど、福島市内でやるわけですから、参加するのは市内で子育てしている人です。そういう人がいま現在何を望んでいるのかを考えた場合、はたして、そういう相互理解なのだろうかという点で、意見が噴出しました。

 そのなかで出された意見は、私としてはどれも頷けるものです。だから、もう一度、企画の案を作り直して、提案することになりました。

 でも、こうやってみんなが何を考え、何を求めているかを考えることって、出版のことを考えても大事です。求められている本でないと売れませんから。だから、直接に本とつながらない仕事なんですが、出張旅費を使う価値は、十分にあるんです。