2013年12月17日

 先週金曜日から東京に来ています。本日夜、京都にもどりますけど。

 毎日、いろいろな仕事がありました。わくわくするような仕事もありますし、気の重い仕事もあります。これは、仕事をしている限り、仕方のないことですね。

 そのなかで、一昨日の日曜日は、たいへん意義のある仕事だったと思います。『先生、殴らないで!』という本の出版記念シンポジウムでした。

 タイトルからも明らかですが、学校と学校スポーツにおける体罰・暴力の克服をテーマにした本です。元巨人軍の桑田真澄さんなどが執筆者に名前を連ねています。桑田さんが書かれたものからは、暴力で強制しながら練習しても、スポーツは本質的に上達しないんだということが分かります。それ以外にも、いつから、なぜ、部活における暴力は始まったのかとか、学校における体罰はなぜいけないのかとかを、スポーツ関係者、教育関係者が論じていて、たいへん意義のある本だと思っています。

 ちょうど、来週23日が、大阪の桜宮高校の生徒が自殺して1年目にあたるので、それを前にして開催しました。この問題での世論づくりをめざしています。

 それにしても、この1年を振り返ってみると、いつのまにか同じようなテーマの本を4つもつくっていたんですよ。この本以外には、以下のものです。

『教育現場での柔道死を考える』(945円)
『日本のスポーツ界は暴力を克服できるか』(2100円)
『スポーツ界の不思議20問20答』(630円)

 最初のものは、日本体育学会の元会長の手になるものです。桜宮問題とは無関係に準備したものですが、2月出版ということで、タイムリーでした。

 真ん中のは、柔道の山口香さんが「トップアスリートを育てる指導とは」を論じており、学校スポーツのみならずスポーツ全般における暴力を扱ったものです。女子柔道選手15名の告発がありましたが、その弁護人をつとめた方も書いています。

 最後のものは、大阪弁護士会のスポーツ部会に属する方々が、スポーツ法学を教えていく上で必要だと感じることを書いたものです。あの松井の4連続敬遠をどう考えるかと、なぜスポーツ界ではセクハラ事件が多いのかとか、そんなテーマです。

 これまで、この分野の本って、ほとんど出したことがなかったんですよ。別に、いま騒がれているから売れるだろうって、そんな思惑で出したわけではありません。著者のみなさんは有名な方ばかりで、その気になれば専門の出版社から出すことになったでしょう。

 なんというか、多くの方が、これまでスポーツにおける暴力を克服するために努力してこられて、しかしなくならなかった。でも、この機会を逃したらだめだという強い思いにかられておられるのです。だから、私たちのようなこの分野で無名な出版社であっても、意欲をかって出版に踏み切ってくれたのだろうと推測します。

 その期待を裏切らないよう、本を普及していきたいと思います。シンポジウムには、会場いっぱいの70名が参加してくださって、京都の出版社であっても、努力次第では東京にこんな形でも攻め入ることができると分かり、意欲をもちました。
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